「顔彫り手本の途中の工程から仕上げまで(その1)」の続きです。
前回(その1)は、あたりをつける(ガイドとなる線を描く)のに鉛筆を使いましたが、今回は牙角類には伝統的に用いられている薄い墨(多めの水で磨った墨)を用いて実演しています。(鉛筆と墨については、その1をご参照ください。)
その後、髪の毛を彫り進めています。前回と似た話をしていますが、違う話も出てきます。
例えば、1:28頃から、父が頭髪の彫りとして主に行なっている片切彫りと、昔ながらの置物に見受けられる彫りとの違いについて述べています。その中で言及している左刃の一種の「お玉(おたま)」は、このように先の丸い刃で、料理に使うお玉に形が似ていることからそう呼ばれていると思われます。
「お玉」は刃が丸いので、切り口がU字型になります。片切彫りは先の尖った左刃を使い、切り口はV字型(片方が垂直)になります。なお、父は動画でも「よかれと思うことを全部確かめる」と言っている通り、頭髪は片切彫りばかりではなく、状況に応じてお玉も使っています。
お玉と片切彫りは切り口の断面に次のような違いがあります。
さらに14:40頃からは、前回も紹介したノコギリのようなギザギザの刃先の作り方について説明しています。他にも決めの小刀の刃を作るコツなど、小刀作りついても少し触れています。
はじめに父が「スタート、カチン」と言っているのは、映画好きの父の洒落で、カチンコの真似です(笑)。
【動画】顔彫り手本の途中の工程から仕上げまで シリーズ一覧
駒田牧子