【動画】顔彫り手本の途中の工程から仕上げまで(その7)髪の毛を塗る

この動画では髪の毛を塗りますが、下準備が二つほどあります。一つは、水をつけて固く絞った綿100%の布で作品全体を拭くことです。表面についている指紋やゴミなどを取り除くためです。手も洗ってきれいにしておきます。(動画では最初に言い忘れて、13:36頃に思い出して述べています。)

もう一つは、この動画の始まりから4:46頃までの部分で行なっている通り、うなじの部分にのみ、薄い藍色(といってもほとんど白に近い色)を塗ることです。日本画の顔料の藍色(あいいろ)と白色として純チタン(じゅんちたん)を用います。この動画が始まる直前に、前回の「その6」でも紹介したコニシの木工用ボンドのりをパレットに少し出していました(下の写真参照)。

ご存知かもしれませんが、コニシのボンドはプレミアム速乾多用途などいろいろな種類があります。成分の濃度が異なるため、根付などの着色に使うには最も一般的なコニシの木工用ボンドのりがおすすめだそうです。

上述の絵の具とボンドですが、水を加えて混ぜます。ほとんど見えないくらいの薄い色です。作品に塗った後に布に唾をつけて拭き取っています。この色を差すことで、髪の生え際からかすかに見える頭皮の感じが出るのだと思います。なお、この作業は必ずしも行わなくてもよいそうで、父も作品によって、したりしなかったりだそうです。

赤い矢印で示した部分がボンドのり。ちなみに、日本画のこういう形のパレットは梅皿というのですね。

4:47頃から髪の毛を塗る作業に入っています。父はアイボリーブラックという顔料を使用していて、これも上述のボンドと水に混ぜて使います。

左から、うなじのあたりを塗るための純チタンと藍。髪を塗るためのアイボリーブラック。

この投稿の一番上にある写真のように、作品の側面から塗り始めるのがポイントです。それには訳があって9:58辺りから説明していますが、正面から塗り始めると、色の濃淡やムラが出た時に、修正の跡が分かってしまう場合がありますが、側面だと一番目立たないのだとか。

この動画ではお団子以外のところを、まず一通り塗って、もう一度そこに重ねて塗ります。二度塗るので、一度目の塗りは多少のムラがあっても気にしなくてよいそうです。また、はみ出しても、その部分は眉や唇の時と同様に小刀でとり除くことで修正できます。

なお、25:52頃に下の写真のように、梅皿に板状のものを置いています。これは絵の具の乾燥を防ぐためです。

この赤い矢印で示した板

駒田牧子


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