この動画は、「顔彫り手本の途中の工程から仕上げまで(その2)」から、頭の毛の残りを彫り、お団子(頭の上に巻いた毛束)の毛を途中まで彫るところです。
主に話題にしている点が2つあります。
ひとつは、頭髪のように、材料を前・横・後ろという具合に一周ぐるりと彫っていくような場合は、どうしても逆目(さかめ)になる部分が出てきます。順目(じゅんめ)は小刀がスムーズに動きますが、逆目だと引っかかるような感じで彫りにくいのです。(象牙ではそれほどでもありませんが、この作品のようにマンモス牙や、木材などでは顕著です。)対処法の一つとして、左刃の小刀を右刃的に使う、すなわち普段は右に払う(動かす)のを左に払う使い方について述べています。(なお、この動画では逆目(さかめ)を「ぎゃくめ」とも言っています。)
もう一つは、「その1」で紹介した「決めの小刀」で毛道を割る様子です。今回の撮影では、カメラを作品に近づけるよう心がけたので、小刀の先も見えると思います。
ついでながら、動画の終わりの方(24:30頃)に、父が左手で作品を当て木に当てる際の握り方に注目してみてください。細かい彫りをするには、作品が動かないようにするのが重要ですが、場合によってはこんな持ち方もします。持ち方や当て木の使い方も決まりがあるわけではないので、臨機応変に対処しているようです。
この動画が終わった時点での作品はこんな感じです。
【動画】顔彫り手本の途中の工程から仕上げまで シリーズ一覧
駒田牧子