根付の着色に用いている筆について、父・駒田柳之から聞いたことをご紹介します。
・父は面相筆(めんそうふで)を使用。
・良い筆はコシと持ちが違う。駄目な筆は先が割れる。
・墨を塗る筆と絵の具を塗る筆は分けること(同じ筆は使わない)。
・面相筆のうち、お薦めは狼狸面相(「ろうりめんそう」と読み、狼はイタチ、狸はタヌキを指し、それらの毛で出来ている)。狼狸面相の中でも、特に別小(べっしょう)と呼ばれる小さいサイズのもの。人物の目や眉を描くのに適している。
・人物の唇を描く時は白佳(はっけい)を使うことが多い。普通の面相筆は穂が焦茶色だが、白佳は穂が白くて紅(と言っても、朱色の絵の具)を溶いてもよく見える。穂先が短いので唇を塗るのによい。
ちなみに、父が狼狸面相を教えてもらったのは得應軒(とくおうけん)という日本画材料の専門店です。
東京・谷中にある老舗で、顧客には東京藝術大学の先生方も名を連ねています。
現在は女性の店主で、その先代の方に父は筆や絵の具のことなどいろいろ教わり、とても感謝しているそうです。
得應軒:https://www.tokuouken.co.jp
父が使っている狼狸面相には清晨堂(せいしんどう)作とあり、下記の製品を得應軒さんで購入したのだと思われます。
清晨堂:https://seishindoabe.com
狼狸面相:https://seishindoabe.com/p/rori-menso/
白佳:https://seishindoabe.com/p/hakkei/
駒田牧子