根付や小刀の制作に便利な布切れ(ウエス)について

縞模様のは、もともと父・柳之のパジャマでした。

私の父で根付作家の駒田柳之が根付や小刀の制作中によく使用している小さい布切れについて説明します。このような布切れは「ウエス」と呼ばれています。父が動画でもたびたび使用していますが、墨や絵の具だけでなく、機械や工具に付いた油や水を拭き取ったりするのにも便利です。

我が家では、使い古して不要となった服やシーツなどを裁断してストックしています。使い古した綿100%の服や枕カバー、シーツなど、縫い合わせの部分は取り除き、使えそうなところを10~15cm角に切っておくのです。白くなくても大丈夫ですが、プリントなどが施されておらず、毛羽立っていない、比較的なめらかな綿100%というのがポイントです。もう一つのポイントは、使い古し、すなわち洗いざらしであることです。

ナカノ株式会社さん(https://www.nakano-inter.co.jp)によると、同じ木綿でもなぜ新品ではなく洗いざらしのものが良いのかといえば、「油分が抜け吸収力が良いから」なのだとか(参考ページ:https://www.nakano-inter.co.jp/recycle/column/entry10.html)。

ウエスは市販品もあり、アマゾンではこちらこちらなどが販売されています。我が家のように、もともと端切れや使い古しの布を利用していたのが、需要があって商品化されたようです。ナカノ株式会社さんによる「ウエスものがたり」という一連のコラム(ここをクリック)を読むと、昭和初期に日本の輸出品の花形となるなどウエスには意外に奥深い歴史があることがわかります。

それにしても、「ウエス」とはなんだか不思議な響きの言葉ですよね。上述のナカノさん(https://www.nakano-inter.co.jp)によると「英語で屑やぼろを意味する”Waste”が訛ってできた」のだそうです(参考ページ:https://www.nakano-inter.co.jp/recycle/column/entry26.html)。発音をカタカナで書くと「ウェイスト」ですが、ネイティブの英語話者が発音したのを日本人が聞いたら「ウエス」に聞こえるかも知れませんね。英語ではwasteは不用品、廃棄物、無駄など幅広い意味があり、日本語のウエスが指し示す布切れはrag(ラグ)と呼ばれているようです。Ragは、ぼろ切れ、布切れ、ぼろ服などを意味します。そういえば「ラグ」と呼ばれる敷物もありますが、別の言葉です。敷物の方はつづりがrugで、ragとは発音も若干異なります。

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駒田牧子


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