根付作家・駒田柳之(こまだ りゅうし)について

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駒田柳之 略歴

1934年東京に生まれる。本名・駒田勇(いさむ)。15歳で父・柳水(りゅうすい)に弟子入りし、象牙置物彫刻を学び始める。特に、父親が得意としていた女性風俗物を習得。ちなみに、祖父・春之(はるゆき)/柳斉(りゅうさい)および叔父・陽香(ようこう)も置物彫刻家として人物を得意とした。

12年後の1962年に独立し、その2年後に根付の研究と制作を開始する。1981年に米国ロサンゼルスにて初の個展が開かれ、1992年には東京で第二回個展が開催された。

父親から学んだ女性風俗物の技術や知識を根付制作に生かし、「美人を彫らせたら、古今東西、柳之の右に出る人はいない」と評される。男性や子供、動物など幅広い題材も扱う。また、象牙彫刻で培った技術を応用し、マンモス牙、鹿角、黄楊、外国産の木材、海松など、さまざまな材料の根付を制作している。

1970年代の初めに齋藤美洲氏、立原寛玉氏、桜井英之氏とともに「現代根付」運動を起こし、1977年に根付研究会(現・国際根付彫刻会)を設立。1994年より10年間、国際根付彫刻会の会長を務める。作家同士の情報交換を促すほか、根付展開催や内外の講演・実演等を通じて現代根付の普及と促進に尽力する。また、彫刻技法はもとより道具作りや根付全般に関する知識も惜しみなく伝授し、後進の育成に努めている。

駒田柳之 2023年2月撮影

2000年より20年間、新宿の朝日カルチャーセンターにて黒岩明氏とともに根付彫刻教室の講師を務めた。二子玉川のコミュニティクラブたまがわ及び神奈川県新百合ヶ丘の産経学園でも根付教室を担当した。彫刻技法はもとより道具作りや根付全般に関する知識も惜しみなく伝授して後進の育成に努め、各教室からプロ作家も輩出された。

1999年に第22回日本の象牙彫刻展にて根付「未の刻」が文部大臣奨励賞を受賞。長年の根付彫刻家としての成果と後進育成の功績により、2009年4月にキンゼイ国際芸術財団からゴールデンドラゴン賞を、同年7月に国際根付ソサエティからブロンズ白澤(はくたく)賞をそれぞれ授与される。

柳之の手に根付「未の刻」
午後のひととき、鈴を手にした女性が足元の猫と戯れている様子を描く。

2017年3月には米国ワシントンDCでの根付展開会に際し、日本大使館・広報文化センターおよびスミソニアン博物館群のフリーア美術館にて娘の牧子とともに根付の講演と実演を行い、全米公共ラジオNPRフェイスブックのライブ動画の取材を受ける。

NPRフェイスブックのライブ動画約30分(音声付き)
柳之が左刃の小刀ほか彫刻の道具を使用している様子が視聴できる。
https://www.facebook.com/NPR/videos/10155411098656756/
注:上のリンクがうまくいかない場合はこちら:
https://m.facebook.com/NPR/videos/10155411098656756/

NPR動画(音楽付き)約2分と写真入りの記事
日本大使館の根付展で展示された古根付や柳之の道具の写真も掲載。
http://www.npr.org/2017/04/01/522120453/in-the-art-of-netsuke-tiny-toggles-tell-delightful-stories-of-japan/

彫刻歴70年を超える今なお道具の改良を重ね、彫刻を続けている。近年は動画を通じて長年の知識や経験を伝える活動に力を入れている。動画はおもに娘が運営するホームページ香柳園の「根付制作覚書」コーナー(http://koryuen-jp.com/j-carving/)にて公開中。

根付「鳥追(とりおい)」
黄楊(つげ)製、高さ5.4cm
上述のNPRの動画や記事には制作途中のこの作品が登場し、こちらが完成品。

駒田牧子


http://koryuen-jp.com/wp-content/uploads/2020/10/makiko-face.jpeg

父・駒田柳之から教わった材料や制作のことをはじめ、「根付は進行する美術」「根付心」「感情移入と擬人化」「絶対的な傑作が出にくい」など、父の考えをふんだんに盛り込んだ拙著『根付 NETSUKE』をぜひご一読ください!詳しくはここをクリック

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